期間 1999年12月1日 〜 2000年 ?月 ?日

記念すべき『第1回特別展』は、”荘川村の化石”を紹介します。
岐阜県北部、荘川村周辺には、手取層群九頭竜亜層群御手洗互層という ジュラ紀海成層が分布しています。




 1999年7月10、11日、インターネットで知り合った化石仲間7名での大巡検を 行ないました。(今回紹介するのは本命の産地での成果ではありません。) 10日午後からは一旦個別行動をとることになり、私たち希望者4名は「荘川村」 を訪ねることにしました。以前から非常に興味を持っていた所であり、私の住まい からはずっと遠いため、次にいつ来られるかわからないところです。夏の暑い日差し の中、少々欲張って遠征しました。
 避暑地で有名な「ひるがの高原」を過ぎるとまもなく到着です。 そこには、所々に転石を割ったあとが 見られました。いかにも化石が出そうな、そして私好みの産地です。 日差しを避けるものが何もないという唯一の問題点を除いては・・・・

 まずは手始めに「転石」を割ってみました。すぐに化石が見つかりました。 ここの化石はとても分離がよくて、下手をすれば化石だけが飛び出してしまいそうな そんな感じでした。化石の密度もまあまあ高そうです。しかも両殻の揃った化石は 明らかに現地性を示しています。
 ほどなく、ここでは代表的な「モディオルス」と「テトリミア」などを手に入れ、 いよいよ露頭にとりかかろうかという時、ふと草の陰を見ると何やら模様の入った 転石を見つけました。手にしてみると、イノセラムスの同心円肋のように 見えました。その直前に『ここからは大きなイノセラがでるよ』と教えられていたので てっきりそうだと思い込んでしまいました。同行の矢野氏が戻って来られたので 『イノセラが採れたよ』と見せると、『アンモじゃないですか!』って・・・・??  矢野氏によれば『一級の破片ですよ』とのこと。意味深な表現ですが、破片とは言え、 はじめて来た産地でアンモに出合えるとは思ってもみませんでした (内心期待していましたが・・)。

 続いて近くの別の産地に案内していただきました。ここは露頭が風化していて 柔らかく、すぐに崩せます。驚いたことに、崩し初めてすぐにアンモが飛び出しました。 保存状態が悪く同定は難しいと思いましたが、今度は破片ではなく、小さいながらも 「丸い」形をしたアンモです。先ほどのアンモといい、本当にこの巡検は幸運でした。
 そして最後に、もう一度驚くことがありました。 層を一枚剥がしたところ、何か大きな貝の断面が見えました。さっそく矢野氏に 尋ねたところ『ピンナ』ということでした。しかし、それは層理面に対して垂直に 、まさにクサビのように突き刺さっていた上に、結構大きそうでした。内型、外型 両方採ろうとすると大きくブロックで取り出すしかありません。しかし、母岩が脆く チョットしたことで崩れそうになってしまいます。結局、残りの時間は すべてピンナのために使ってしまいましたが、なんとか無事(?)に手中に収めることが できました。

私にとっては初体験のジュラ紀でしたが、大満足と感動の巡検となりました。

最後に、現地の案内から荘川村の化石についてのご指導まで多大な協力を頂きました 『椎摺比男のF−ファイル』 の矢野さんに心から感謝します。
尚、荘川村の化石は 『椎摺比男のF−ファイル』 にも素晴らしい標本が展示されていますので是非ご覧下さい。



荘川村の化石

アンモナイト テトリミア モディオルス トラキア

アンモナイト ピンナ トラキア